アラム・ハチャトゥリアン 交響曲第2番 第1楽章分析

そんなこんなで家にいると鬱屈な気持ちで、日々無駄に過ごしそうな気もするので。。。より深く探求していきたい音楽について、日記がてら自分の視点を交えてをシェアしようと思います。(ほぼ)自分の記録のためにつけていくので、悪文ですがご容赦ください。

 

主に作曲家の概要、選曲理由、構成、特徴、分析後の聴覚的な聞き方の変化、etc...などを載せていきたいと考えています。

 

 

アラム・ハチャトゥリアン作曲 交響曲第2番 第1楽章

 

<アラム・ハチャトゥリアン(1903-1978)>

プロコフィエフショスタコーヴィチ、またはカバレフスキーと並ぶ20世紀ソビエト楽団を代表する一人。

・代表曲...バレエ音楽「ガイーヌ」、「スパルタクス」、「仮面舞踏会」、3曲の交響曲

アルメニア人、アルメニアアゼルバイジャングルジアなどのいわゆる民族音楽の宝庫で育ち、民謡に親しむ。民謡、民族的特色は彼の音楽語法の中心的な役割を果たす。→Symphony No.2 Mov.2のテーマの基礎にも用いられる。

・18歳まで芸術音楽を知らず、楽譜も読めなかった。兄とともにたまたま通りがかったコンサートが彼のターニングポイントとなり、グネーシン音楽専門学校チェロ科に入学した。それから学長の推薦もあり、作曲科に転入した。

・26歳の時、モスクワ音楽院作曲科に入学。

<選曲理由>

冒頭のファンファーレの強烈な響きと、アカデミズムによって支えられた、緻密かつ長大な音世界を導く構成力に強い感銘を受け、そのダイナミズムに迫りたい欲求に駆られた。

 

<構成>

※小節番号の記載がないため、全音楽譜出版社から出版されたミニチュアスコアのページ数、練習番号を採用。

第1楽章 andante maestoso

ソナタ形式

・冒頭の序奏

  fff tutti ホ音のオスティナートバスの上にE音のフリギア旋法上の和声が乗っかる。

・第1主題 molto tranquillo

  mf テーマ:Va.低音域(sul C) 伴奏:弦のpizzicato

  小太鼓が導入された行進曲風の確保部分からなだれ込む様にして第2主題へ

・第2主題 13  Molto meno mosso , recitando

      f tranquillo テーマ:Fg. solo  

・展開部 23  Feroce

      Xylo,Pf,弦:Hのトレモロドローン上に管楽器fでハーモニー

   第1主題と第2主題のポリフォニックな呼び交わし。 

・再現部 35 Tempo I

     テーマ:Va,Vn II   変奏:Vn.I 細かい装飾

・Coda  52 Tempo l

     E音のオスティナートバス上にA音のぞくフリギア旋法の音を全て含む和音奏する。

 

<特徴>

ここでは私が特に心惹かれる(卓越した技術と才能にとりわけ感銘を受けた)部分について述べる。

 ・冒頭の序奏

管楽器の4 Octave Unison (Picc.---Fl.1.2./Es Cl.---Ob.2.E.Hr./Cl.1,2./Trp1.2.3.---1点トOb.2/Hr.1.3./Trb.1.2/Tubullar bell  --- Hr.2.4.)+Archi(Vn.l---Vn.ll---1点トVa./Vc.)+Pf.

低音 (トBsn.1/Trb.3---Bsn.2/Tuba/Timp tremolo /Cb.upper---Cb.lower)

 

相当強靭で横綱級のどっしりとした響きで、Trumpet,Trb.1.2.の配置が肝要。表題の如く、鐘をアンプリファイして限界まで増幅したようなサウンドクオリティ。お見事、一瞬で虜。

 

・P29伴奏

Harp+Fg.の音色混合。それぞれの楽器のキャラクターが調和された美しい音色。

 

・P32経過句

Cl.+Va.  クラリネットの性質上弱い音域を利用した音色のパースペクティブ。楽想と相まって非常にうまく計算されている。

 

・P39 Fg.の第2主題の導入

W.W.+Strings のfff unis.→Timp. ff ____dim.____ p → Fg.solo

楽器間におけるダイナミクス・音色の差を逆手にとって、一番音量の差を作ることのできるTimp.のトレモロ奏法でff→pまで一気にdim.。聴衆は耳をそばだたせながら、Fg.のテノール音域で奏でられる第二主題へと楽想は滑らかに移行する。

 

・P53 W.W.旋律のunis.

(Picc---Fl.1.2./Es.Cl.---Ob.1.2/Cl.1/(Trp.1)---E.Hr./Cl.2/Bs.Cl./Bsn.1.2./(Trp.2))

()内の楽器は補強として連打音のみ加えられているパート。

 

・P56〜金管の組み合わせ

Hr.1.3./Trb.1+Hr.2.4./Trb.2→Hr.1.3./Trp.2+Hr.2.4/Trp.3

非常にバランスのいい配置。

 

・P75 低音unis.の重ね方

Hr.1.2.3.4./Trb.1.2.---Bs.Cl./Bsn.1.2./Trb.3/Tuba/Cb.

音色混合、低音域での音の鳴りの良さの点で見事。

 

・P81

Codaのフルートセクションとハープの音色混合

 Fl.1:soloで主題の短3度のテーマ抽出

  +

 Harp+Fl.2.3:Fl.1のアタック(Fls:sf)

 冒頭の鐘の響きを喚起する秀逸なオーケストレーション

 

 (続)

 

自己紹介(軽く)

どうも、初めましてmosolovです。

最近、クラシック音楽・現代音楽・(作曲)に興味を持ち始めた社会人です。自分の学習した記録を文章にして残したいと思い、ブログを始めてみました。今まで僕は言葉で何かを表したり、文章に起こして人に何かを伝えるということがとても苦手で、それを自覚するあまり、人前で話す機会も減っていき、ただただほそぼそと円満に学生生活を終えたい、、とだけ考え、つい先日まで学生生活を送っていました。ほそぼそとただ平凡な学生生活を過ごしてみてわかったのは、対話の機会が減ると、心が貧しくなるということ。言葉を失い、感情が単純化すること。複雑な状況を捉えることが難しくなり、思考が停止すること。。。

人と対話する、芸術と対話する、自然と対話する、空と対話する、、、何気ない日常にふと立ち止まることで、自分の周りに空間が生まれ、心のひだがパッと何かを掴み取って自分の中から飛び出そうとする。そんな感覚を失いかけていました。

そんな私の心のひだを優しく包み込んでくれたのが音楽でした。

私の物心がつく前からピアノを習い、幼稚園の年長さんから毎週ヤマハ音楽教室に通っていました。親のスパルタ教育により絶対音感を身につけたが、練習は本当に嫌いで結局、中3まで通い続けて受験でそのままやめてしまいました。

そんな自分が音楽を好きになったきっかけは作曲との出会いでした。

なんとなく和声を習い始めたのは大学4年生になってからで、音楽に対するトラウマも少しは癒えてきた年頃だったのかもしれません。

CDでショパンピアノ曲をかけて聞くのがこのころのマイブームで、甘美に響くショパンのピアノ書法にどっぷりとはまってしまい、一日中どこへゆくにもショパンをお供に頭の中はショパンでいっぱいになっていき、次第にその興味は作曲技法の方へと傾いていきました。スパルタ教育だった父に「作曲を習ってみたい。」とだけ相談すると、「まずは和声を習わないと話にならないから、和声を習ってみたらどうか。」と返され、知り合いの先生を紹介してもらってレッスンに通い始めました。

(続)